TAKURO『胸懐』

私はGLAYは好きだけどTAKUROはあまり興味がなくて、GLAY結成の話とかを知りたいからという理由でこの本を読みました。でも読んでみるとTAKUROの考え方がかなり興味深くて、おもしろかった。寄付やお金の話も、綺麗ごとっぽくないところがよかった。
「音楽はなくてもいいものだけど、人を幸せにする力がある」っていうのは、その通りだと思った。音楽聴かなくたって生きていけるけど、音楽があるからがんばれることってたくさんある。学校に向かうのが気が重くても、電車の中で音楽を聴くことは好きだったりする。私はミュージシャンじゃないから、TAKUROの音楽に対する考え方を全部理解するのは難しいけど、音楽に対するTAKUROの考え方を知れてよかった。
少年時代の音楽バカっぷりには笑った。サッカー部やめちゃったのかい!って。母子家庭でお金に余裕がなくて苦労してたなんて知らなかったよ。暗闇の中の電池探しはおもしろく書いてるけど、何ともいえないやるせなさが伝わってくる。サッカーの大会とビートルズ特集が重なってなければ、ギターをやってなかったかもしれないっていうのにはびっくり。些細なきっかけが人の一生を左右するんだねぇ。
でもGLAYって結構簡単にブレイクしたのかと思ってたけど、東京に出てきてから2年間もお客さんが数人だけだったとは…。誰もいないライブハウスに向かって唄うTERUは、一体どんな気持ちだったんだろう。ようやくデビューしてそこそこヒットするも、3枚目の彼女の"Modern…"が全く売れなかったとか、苦労はたくさんあったんだね。
一番衝撃的だったのがTAKUROの彼女の話。別に「彼女いたんだ!ショック!」とかの類ではなく、GLAYの中でも名曲だと言われる数々の曲がその彼女1人を想って作られたものだということにびっくりした。作詞っていうのは実体験ももちろんあるんだろうけど、空想や想像の部分もかなり多いものなんだろうと思っていた。でも彼女とのエピソードを知るたびに「あの歌詞はそういうことだったんだ」と納得した。こんなにも1人の男に想われる女の人は幸せだろうな。
でもGLAYが売れたことで彼女との関係はうまくいかなくなってしまったらしい。この彼女ってかなり変わってる人だね…。特別扱いされることを極端に嫌って、入院しても彼氏に全く連絡しないなんて。「僕が成功によって得たすべてのものと、彼女は相容れなかった」っていう一文がすごく切ない…。でもそういう人じゃなかったらTAKUROもそこまで彼女を想ったりしなかったのかもなー。
20万人の幕張ライブを成功させて、その直後に解散を考えていたことにも驚いた。この先にはもう下り道しかないということを4人が真剣に覚悟していたとは。あの時、世間のほとんどの人がGLAYは調子乗ってると思っていただろう。でも解散話が進んでいくうちに誰かが言った「何で解散しなきゃいけないんだっけ?」って言葉で、解散がなくなったなんてすごい。なんか開き直りの感覚に近いね(笑) この話を読んでいたら、USJのライブで号泣し「あの時解散しなくてよかった」と語ったTERUを思い出して泣きそうになった。
北京ライブの話もおもしろかった。ノリ方が分からない中国人のために日本から来たファンが必死に腕を振り、だんだん会場中にGLAYと日本のファンの想いが伝わったっていうのが泣かせる。ファンってありがたい存在だね。
この本を読んで、今まで私はGLAYのこと何も知らなかったんだなって思った。特にTAKUROについての見方がかなり変わった。TAKURO、すごいやつだ!
かなり余談だけど…
GLAYのメンバーが1人でも欠けることになったら、その瞬間に解散する。
・東京で入れたメンバーが長く続かなかったのは、TAKURO・TERU・HISASHIの絆が強すぎたから。
というのを読んで、私はEXILEのことを思い出した。
特に後者は、EXILE第2章は大丈夫なのかな…と心配になった。やっぱりスタートラインが違うっていうのは予想以上に大変なんだと思う。私はたぶん第2章は応援できないだろうけど、EXILEのメンバーがつらい想いで解散することになるのは絶対にいやだ。どんなに心が離れても、きっと私がEXILEを嫌いになることはないんだろうと思うから。
それと同時に「本当にやりたい音楽をやっている人間でなければ、人の心はつかめない」という言葉で、俊が浮かんだ。きっと俊もそういう想いでEXILEを脱退したんだろう。私も最初は「ファンのためにがまんしてほしかった…」って何度も思ったけど、俊が楽しく唄ってくれなきゃファンだって楽しくないよね。
何だかいろいろ考えさせられたな、TAKUROには。

胸懐

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